富有柿の由来
「岐阜県が発祥の地」
原産地は岐阜県瑞穂市(旧巣南町)で明治時代に福島才治氏により選抜され、現在は原水と”富有柿発祥の地”の石碑が建てられています。
「富有」と名付けられたのは、古典「礼記」の中からとられた名称で、「天下を治める」という意味があります。
岐阜柿消費宣伝協議会、JA全農岐阜より
閉じる
富有柿の情報
名称
富有 (別名:居倉御所、水御所)
来歴
岐阜県本巣郡川崎村(巣南村)居倉の原産で、「居倉御所」とよばれていたものの一系統である。
その後急速に各地で栽培面積が増加し、甘ガキの王座を占めるにいたった。
閉じる
富有柿の特徴(果実)
樹勢は強健で、枝梢は太くてよく伸長し、長い節間をもっている。樹姿は開張性で、結果期に入ると側枝が下垂しやすい。
展葉期や聞花潮はややおそいので晩霜の心配はあまりない。果実はやや大果で一三〇g以上になる。
果頂は扁円、横断面はやや方目で、果形は豊円でととのい、果皮は橙紅色で光沢多く、外観はきわめて美しく、カキの中でもっともすぐれている。へたは三角円で果実に接し反転せず、収穫後まで新鮮さを保つ。
肉質はやや密で、柔軟多汁であるが、甘味や糖度の変異があり、品質は最上のものとはいえない。大果になるとへたすきを生じやすいのはこの品種の欠点である。
熟期は十一月上旬~中旬でやや晩生に属するカキである。果実の日持ちが良好で軟熱おそく、輸送性があり、外観とともに高品性がきわめて高い。
完全甘ガキであるがカッパンは中位で、種子が多いといくぶんカッパンが増加する傾向があり、秋期の気温が早く低下する地方では脱渋不完全、着色不良になりやすく、高温に過ぎる地方ではカッパン多く、肉質があらくなりやすい。
閉じる
富有柿の特徴(果樹)
栽培上の注意・その他
花芽の着生は良好で、結果期に入るのが早く、豊産で隔年結果性は弱い。種子の形成力は強いほうであるが、単為結実力が弱いため、不授精のものは七月上旬までには大部分落果するので、生産を安定させるためには受粉が必要である。
樹上に残った無核果は扁乎で果頂部凹み、やや小果で、果形ととのわず、果色も淡いので商品価値が劣る。この品種は雄花を着生しないので、集団的に単植されている地帯では授粉樹の混値か人工授粉が必要である。
人工授粉の能率化と花粉の節約をはかるためには、石松子で30倍ていどに花粉を稀釈し、人工授粉器を利用すれば10a当り二人ていどの労力と1~2gの花粉があれば足りる。花粉の採集、増量、配布などの諸作業は共同化してむだをはぶきたい。
花粉は乾燥剤とともにボリエチレン袋に入れ冷蔵庫に貯蔵すれば、開花期間中は充分活力を維持できる。整枝せん定は容易であるが、枝が丁垂しやすいので主枝や亜主枝の先端は早めに摘蕾して真直に太く伸長させるように心がける。
樹形は変則主幹形または開心自然形とし、適正な株間を保持し、自然に順応した樹冠の拡大と結果層の増大に留意したい。
タンソ病にかかりやすく、雨量の多い地方や密植園ではとくにひどいので、防除にはとくべつ注意する必要がある。マメガキ砧と親和性が少ないので苗木には共台を使用する方が良い。
「富有」の適地は年間平均気温が一五度以上で、雨が少なく、昼夜の温度較差の多い瀬戸内沿岸地帯と思われる。
農業総覧 品種編 農山村文化協会 抜粋
閉じる
柿の分類
完全甘柿(pollination constant non-astringent)
富有、次郎、伊豆などに代表され種子の有無に関係なく自然脱渋し、常に甘柿となる。果肉に薄く褐斑(ゴマ)が形成される。
不完全甘柿(pollination variant non-astringent)
西村早生、赤柿などに代表され種子の有無が自然脱渋に影響し、種子のある場合は褐斑が形成され甘柿となるが、種子のない場合は褐斑が形成されず渋柿となる。また種子の褐斑形成に及ぼす範囲が、不完全渋柿に比べて広い。
不完全渋柿(pollination variant astringent)
平核無、甲州百目などに代表され種子の有無が褐斑の形成に影響するが、種子による褐斑形成の範囲が狭いため、渋柿となる。
完全甘柿(pollination constant astrigent)
堂上蜂屋、西条などに代表され種子の有無にかかわらず、常に渋柿で褐斑は形成されない。
閉じる
甘柿と健康
果実の消費と菓子類100g当たりのカロリー比較
【果実】
温室ミカン 39kcal、オレンジ 37kcal、甘柿 60kcal、キウイ 56kcal、ナシ 40kcal、バナナ 87kcal、ブドウ 56kcal、モモ 37kcal、リンゴ 50kcal
【菓子類】
あめ玉 390kcal、芋かりんとう 478kcal、かりんとう(黒) 507kcal、あられせんべい 381kcal、揚げせんべい 480kcal、ショートケーキ 340kcal、ドーナツ 430kcal、ポテトスナック 522kcal、クッキー 492kcal、ミルクチョコレート 423kcal
日本人の果物購入量は1日1人当たり87gで、この87gをリンゴで消費したとすると44kcalとなり、日本人の1日当たりの必要エネルギー2600kcalの1.7%に過ぎません。
「果物を食べると太るとか、糖尿病になる」といった言葉をときどき耳にしますが、上記の表より明らかにカロリーが低いことがわかります。
食品のカロリーはタンパク質・脂質・糖質の量にそれぞれ、おのおの4・8・4kcalの値を掛けて計算されます。果物には脂質がほとんど含まれていませんから、カロリーの低い食品として位置づけられています。
太らないためには、食後の満腹感が得られるかどうかが大切な要素となります。
平成10年度の総務省の調査では、一世帯当たりの年間の果物購入費は43,758円、菓子購入費は81,523円という結果となっています。
閉じる